オッサンの毎日 2001.12月分
12/31
人寂しくて
空気にニオイがあることを意識することがあります。しょっちゅ
うではないんですよ、でもとても強く意識します。小さな時分に、
そう、それこそまだ車の往来もそれほど多くなかった東京駒込、ぼ
くの育った街の、懐かしいニオイをです。
四季それぞれのニオイに記憶が重なります。たいていは楽しいこ
とばかり、いやなことはあまりないのです。でも街は徐々にうるさ
くなり、車は増え、そして、いろいろなことが重なり、ぼくの記憶
回路のニオイメモリーが消えてしまいました。
冬の雑木林の散歩ではね、これは発見だけど、足音が後をついて
くるんだよね。歩いても走ってもついてくる。あの、勘違いしては
困るけど、ストーカーではないですよ、落ち葉たちのざわめきなの
です。ハハハ。
話がまるであっちこっち飛ぶけど、まぁ、ぼくの文章はこんなも
のなのでカンベン・カンベン。さて、ちょっと考えたのだけど、ぼ
くは犬が大好きなのです。「いまさらなに言ってんだ」と、言われ
そうだけど、ちょっと前提がいるのでね。
365日散歩は欠かしません。ぼくほど犬のことを考えている人
間はいないのである、と自負していました。犬と一緒の散歩が大好
きで、犬の顔を眺めているのが好きで、犬の動作のすべてが好きで
、犬に舐められるのも好きで、犬と遊んで噛まれるのが嬉しくて、
暗くなって帰るときも、玄関前で待っている犬を想像するだけで嬉
しくて、あるいは降る雪を、首を斜めにして見ている犬が愛らしく
て・・・
でね、いろいろ犬とのことを考えていてね、ぼくは気がついたん
だ、ぼくは間違いなく犬に甘えているんだと、いま、やっとこ気が
ついたのだね。なんともゆっくりだけど、でも気がつきました。た
ぶんぼくは犬に、精神のどこか、ぼくの弱い病気部分をカバーして
もらっているんだと。そのうえでね、あらためてぼくは正しい犬好
きになったのです。
つまり、ぼくと犬とは同じレベルなのです。いや、犬のほうが、
ぼくの飼い犬の場合は自立しているかもしれません。そう考えると
ね、なんともありがたい。そう意識したとたん、ぼくはちいさい時
分の、初めての犬との出会いがくっきりとメモリーに復活したので
す。
冬の雑木林のニオイはね、そんな懐かしさがあるんです。ぼくの
場合、たいていの懐かしさは悲しみでもあるけど、そういった嬉し
い楽しいことも残っているのです。たぶん、これからの半生は楽し
い思い出ばかりになるでしょう。
さて、半年間、オッサンの毎日におつきあいありがとうございま
した。みなさんからいただいたお便りがなんとも嬉しくて、宝物の
ようにFDに何枚もコピーしています。HPはインパクが終わっても続
けます、オッサンの毎日も、今週のケンタクンも、不定期になるか
もしれませんが続けます。
すべてのみなさんに来年が良い年でありますよう願っています。
2001.12.31 深津 勝
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12/25
公園
いつもの散歩コース、大きな重機が並んでいる。どうやら始まる
らしい。コース途中の原っぱで、数日前から測量をしている人や、
杭を打っている作業員を見かけた。縦看板もでき、内容を読んでい
たので公園が整備されることになったということは知っていたが。
運動会のときに引く白線のように、広い野原が縞模様や楕円の印
でいっぱいになっている。どんな風になってしまうのだろう。でも
たぶん、いままでのように、原っぱの端から端まで、転びそうにな
りながら、ケンタクンと走ることはできなくなるな。
週に2・3回出会う、紙飛行機飛ばしのお爺さんにも、もう会え
なくなるだろう。原っぱのまんなかに、吹流しの風向きを測る棒も
立つことはない。なんだか複雑だね。整備された公園にはそれなり
の意義があるに違いないけどね。
ひとつだけはっきりしていること。ぼくとケンタクンは整備され
た公園には足を踏み入れない。いや、足を踏み入れることまかりな
らんという縦看板ができること。
今日、サクラの老木以外はすべて伐採されていた。老木の下、い
つもと違う風景にケンタクンは、やはり少し首を傾ける。
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12/21
雪は斜めに
初雪が降りました。でももう止んでいます。雪化粧とはほど遠く
、かすかに家の前の畑が白くなった程度です。けれどケンタクンは
、とても嬉しそうに雪を眺めています。
ぼくは少し憂鬱です。このままで明日を迎えると、道路が凍結し
ます。雪が降った翌日の朝一番の道路運転はとても怖いのです。雨
になってくれれば雪は融けていいのだけど・・あの、じつはいまね
、この文章を書いているのは3階の屋根裏で、雪の降るさまを、な
んとなく眺めているのですけど、雪って斜めに降りますね。
森田さん(TBSで気象解説をしている人)がやけに昨日リキをこ
めて「明日はかならず雪なのです」と言ってました。そのとうりにな
ったので、今日あたりは鼻の穴を膨らまして画面にでて来るでしょう。
これから雨用の散歩合羽を着てケンタクンと出かけます。さっき
から、散歩に行く時間が迫っていることを動物的カンで(なんかオ
カシイな)察知しているケンタクンは、玄関のドアに体当たりを繰
り返しています。(なんでそういうことをするかなーじっさいウル
サイのです)バーーン・バーーン。
はいはい、いま行きますよーーーー。
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12/17
アメンボウ
小さな水溜りにはかならずいましたね。名前は・・えーとアメン
ボウともミズスマシともいいます。小さな昆虫です。4本の大きな
足で、水の表面をスイスイと気持ちよさそうに滑っていました。
「父さん、あのアメンボウはどこへいったの」
こんなふうにケンタクンがぼくに聞きます。(聞くわけがないけ
ど聞かれたことにします)じつはね、ぼくも聞かれて気がついたと
いうわけで、ほんとううのところアメンボウのことなどすっかり忘
れていました。
そういえばあのアメンボウはいったいどこへいってしまったんだ
ろう、ぜんぜん見ませんね。東京近郊のこんなふうに汚れた大気の
もとでは住んでなんかいられネエや!てなかんじで逃げ出してしま
ったのでしょうかね。
そうか!いま思ったんだけど、アメンボウの名前の由来は、きっ
と、雨があがった後の水溜りに、どこからともなく現れるからだ。
そうにちがいない。ちがうかなー。
雨上がりの水溜り。小学生のぼくは、ひざを抱えてアメンボウと
よくにらめっこをしました。なんであんなにスイスイ水の表面を滑
っていけるのか不思議でしたね。
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12/12
青ミルク色の空
昭和記念公園、その北の外れにあるファミリーレストランで遅い
昼食をひとりで食べた。ぼくは、もっとずっと若い頃だけど、一人
で食堂や喫茶店に入るのが苦手だった。でも最近は大違い、ウキウ
キ気分で入ることができる。
気分よく楽しむコツはね、やはりお昼の混雑している時間帯をさ
けることなんだな。ぼくはタバコを吸わないのでいつも禁煙席、と
いっても、ついたて隔てた向こう側が喫煙席、なんていうところも
まだまだ多いねぇ、オイオイって。感じだな。
今日は老夫婦がとなりの席にいた。これがなんともいい感じでね
、ぼくは、コーヒーを4回もオカワリして(セルフなので気軽にオ
カワリができる)聞き耳をたててしまった。
オババ 「このカキフライは美味しいね」
オジイ 「そうかい、オレはやっぱり日に一回は青汁だな」
オババ 「そう飲めはしないだろ、毎日は」
オジイ 「でも、やはり青汁でなけりゃ」
オババ 「アタシは30回は噛むようにしてんだ」
オジイ 「鈴木さんもそうしてるよ」
オババ 「鈴木さんはもう年だから」
オジイ 「・・・・・年は年だな」
ぼくはちょっと困ったけど、一生懸命笑いを堪え、基地の遥か向
こうに見える丹沢の山並みを楽しんだ。空の青さがミルクを混ぜた
ような色になっている。
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12/10
ひとりごと
毎年のこと、年の瀬が近づくと道路の混雑が始まります。ぼくは
車で移動することが多く、いつもこの時期になるとイライラするの
です。なぜかって、「エェーなんでこんな時期にぃー」とおもうほ
ど年末のこの時期に道路があっちこっちほじくりかえされます。
しかし!なんとぼくのこの認識は大間違いなのだそうです。
「えぇーーホントかよーーー」とおもわずぼくは車の中で大声を出
してしまいました。ラジオを聞いていたときのことです。政府広報
だと思うのだけど、繰り返し言い訳をしていました。それによると
、年末・年度末の工事は、いつもの半分だとか三分の一だとか言っ
ています。
じっさいどうなのですかねぇ、もっとも政府がウソをつくことも
ないと思うけど・・・あ、でもワカンネエゾ。とも思いますよ。な
んてったっていま、お国の上のほうでは、いろいろなことでゴタゴ
タしていて、そんなときは「とりあえずこのくらい言っとけー」て
なことに・・・ちょっと考えすぎかな。
オッサンは最近ひとりごとが多いみたいです。いつも誰かに、そ
う誰かに向かって怒ったり、わめいたりしています。あ、そうそう
飼い犬のケンタクンともよく話をしますよ。これもひとりごとにな
っちゃうのですかね。
深津 勝
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